来年の4月入園に向けて、認可保育園の申込のシーズンとなりました。すでに申し込んでる方もまだの方も、結局なにをしたらいいんだろう状態の方もいらっしゃると思います。働きながら子育てをするには欠かせない一大イベントの保活。 保活の基本とあわせて、インタビューに協力いただいたみなさんのお声をまとめました。
1. 保活のいろは 認可保育園、無認可保育園なにが違うの?
まず保育園には種類があります。申込方法が違ってくるので、この違いを理解することが必要になります。 名称もそれぞれの自治体でバラバラですが…大きく分けると2種類です。 1)自治体に申し込むもの
- 認可保育園
- 小規模保育園(0-2歳までの保育園)
- 保育ママ(個人のお宅に預ける形の保育園)
2)自治体に申し込まないもの = いわゆる認可外保育園
- 認定・認証保育園 (一定の基準を満たした保育施設を市区町村や都道府県が認証・認定して支援している施設を指す)
- 認可外保育園
認定・認証保育園は自治体の冊子に載っていることが多いようですが、 認可外保育園は自治体からの情報には記載がないことが多く、探すのはとても大変です。 “本当の網羅”というのを進めてほしいものです。 (そして「認可外」という物騒な名称に代わるものもお願いしたいところ……) そして、2019年10月から幼児教育無償化なるものも始まりましたが、 子どもの年齢、兄弟の有無、通っている保育園や幼稚園の種類、自治体ごとにどこまで無償になるのかがバラバラです。 (それなのに「無償化」という言葉は間違っている気がしてなりません) 把握しなければならないことが1つ増えましたね……。
2. 「保活をしよう!」なにから始めればいいのか?
2-1. まずは自治体の情報を確認することから
まずは自治体にある申込要領をもらいに役所に行くことから始めましょう! そして保育園担当の方と話をして、自分が住んでいる場所の保活状況を確認してみることをお勧めします。 and-famに寄せられたみなさんの声から、情報入手の重要性を見ていきましょう。 やまっこさんのようにきちんと情報収集をされた方とされていない方では差がでてしまうケースも……!
やまっこさん 私が住んでいる自治体では妊娠中に入所予約できる制度があるので、妊娠中に申し込みをして保育園が決まりました。予定日の8週間前から、その保育園ごとに予定日換算で5人まで予約できるので、だいたい予約できるのは4~5月生まれになります。保育園が決まった状態で産休に入ることができるので、私も、会社側も安心ですよね。この制度が使えてよかったです。あとから0歳児サークルなどで聞いたら、4月生まれでも申し込んでいない人もいたので、調べたもの勝ちだなと思いました。
また申し込みにあたり園見学が必須とされている自治体もあるそうです。
SATOKOさん 私の自治体では希望を出す保育園の見学が必須とされており、申し込みのときに「見学に行ったか、またはいつ行くのか」を聞かれます。今通っている保育園は割と対応が柔軟で、いつでも見学OKでしたが、保育園によっては園が指定した日に見学に行かなければならないところもありました。実は希望を出そうと思っていたけど、見学の際の対応が冷たくてやめたところもあります。
役所に話を聞きにいかずに待機児童に一時期なってしまったごまさん。
ごまさん 保活激戦区にすんでいるのですが、待機児童になるとはまったく考えていなかったんです。見学は少し行ったものの、一度も区役所に話を聞きに行きませんでした。なにせ入れると思い込んでいたので………。妊娠直前に夫が会社をやめて独立して収入が一気に1/5になり、私が働かないと生活できない状態になったので、保育園は入れる前提で考えていました。だから、待機児童の通知を見たときは目の前が真っ暗になりました………。そこからまだ締め切っていない無認可保育園に申し込みましたが、どこもダメでした。そのあと3月末に奇跡的な繰り上げで入園でき、産後5ヶ月から復職をしました。今考えるとやり方もまったくわかっていなかったのですが、つわりが落ち着いた段階で、申し込む園の選び方や保活の進め方、昨年度までの実績の見方など、情報収集をするべきだったと思います。
保育園の申込にあたっては、情報収集能力がまず必要とされていることは間違いありません。
2-2. 保育園見学は、認可外からはじめるのもポイント
次に、見学に行く方が多いと思いますが、その際には認可外保育園などの”自治体に申し込まないもの”を先に回るのがポイントのひとつです! “自治体に申し込む”保育園については、基本的に自治体にまとめて希望を出すことができるのですが、 “自治体に申し込まない”保育園については、選考基準をそれぞれの園で決めているので、【見学に来た人のみ】に限っていることもありますし、そもそも募集があるか、募集はいつ始まるのか、などを個別に確認する必要があります。 ただ、自治体によっては、認可保育園も見学必須というところがあるので、そこは役所に行ったときに確認しておきましょう!
3. 保育園見学ってどうするの?見学のポイントをインタビューから紹介
実際に園見学ってなにをするんだろうという方が多いと思いますので、ポイントについてお話してくださった方のインタビューを抜粋します!
あおなさん 園見学のときなどに
- ベテランから若い先生までバランス良くいるか。またベテランの先生の勤続年数は長いか
- 親へのサービスではなく子どもの育ちを大切にしているか
- 食事の内容やおもちゃなど、子供の発育に必要不可欠なところに予算が割かれているか
- 行事が多すぎないか?多すぎる場合は先生の負担を確認すること
- 見学に行った際だけではなく、近所の公園に散歩に出てきている様子を確認し、先生が支配的なではなく子どもに寄り添った声かけをしているか
といったポイントを中心に確認していました。
はるはるさん 1.親子ともに毎日通うのに、負担がないこと 地図上は近く見えても、実際行って「やっぱり遠い」と思った保育園は避けました。 2.保育士の負担が少なそうなこと 数園見学するうちに、なんとなく保育士さんが疲弊している園が分かるようになりました。細かなところが片付いていなかったり、制作物や行事が凝りすぎていたり……。また、見学では園長先生が丁寧に対応してくださって好印象だった園があったのですが、実際にお子さんを預けているママ友に聞いたら「園長と保育士の考えに相違があり、保育士の入れ替わりが激しい」という声があり、可能であれば現在通っている保護者さんの意見も聞くことも重要だと思いました。 3.サービスや早期教育より、生活や心の成長を重視していること 昼寝の布団セットがラク、英会話や体操教室がある、アプリでの写真販売があるといったサービス面が充実している園も魅力的でしたが、挨拶やオモチャの準備片付けを園児たちが自然にしていたり、保育士さんが園児に声をかける姿に温かみを感じた園の希望順位をあげました。 4.園庭があること ひととおり園見学をしたあと、よさそうな園はお散歩の風景をこっそり見に行きました。すると、保育士さんが終始イライラしながら引率している園が結構あって……。歩道のない道や交差点ではかなりピリピリした雰囲気になっていました。最初、園庭は必須ではないと考えていましたが、保育士さんも園児も安心して遊べる園庭がある園を優先しました。
認可外保育園のことをお話しくださった方もいらっしゃるので紹介します。
雨模様さん ネットではあまり情報を得られず、電話で直接確認しました。ある認証保育園は電話口で「兄弟児でいっぱいなので難しい」と断られ、別の認証保育園では「まだ何も決まっていません」との回答でした。そこでこちらの保育園に1~2か月おきにこまめに電話で確認し、年内に申し込みをおこなった人を対象に1月下旬に抽選するという情報をキャッチできました。公になっている情報ではなかったので、こまめな電話確認がなければ情報を逃していた可能性が高いです。1月下旬の抽選で当選したため、認可の結果が出る前に復帰を決めることができました。
はるはるさん 散歩中に偶然、4月にできたばかりの認可外保育園を見つけ、入ることができました。認可外保育園は企業主導型のものなどが増えているようですが、インターネットで探してもなかなか情報が見つからず、ママネットワークで聞くか、それこそ近くを散歩しながら探すしかない状況でした。入ることになった認可外保育園は、交渉した結果7月から入園ということにしてもらいお金だけ払って、実際は10月から子どもを通わせて復職しました。
ネット社会になって久しいですが、現場を回らないといけない、それが今の保活の現実のようです。
4. そのほかの保活エピソード
さて、ここからはand-famに寄せられているその他の保活のエピソードを紹介いたします。
転勤+転園
さかたみさん 兵庫に転勤し、2歳児クラスで転園しました。 ~中略~ 0~1歳は割と入れるようなのですが、2~3歳児は枠が少なく、希望していたところは入れず、最初は第5希望の園でした。周りもたまたま育休中の方や、パートの方が多く、土曜勤務のときに「休みじゃないんですか?」と保育園から言われることがあり、ここであと3~4年過ごすのがどうしても嫌で、転園することに決めました。役所でも転園について相談したのですが、うちの自治体では、転園希望は持ち点がゼロになってしまって、それだと希望しているところには入れません。一度退園すると持ち点がつくので、3月で退園する届を出したうえで3歳児での申し込みをしました。これでどこにも入らなかったらどうしようとかなり賭けではありましたが、無事第1希望の保育園に入れました。
きょうだい別園
ゆかりさん 息子はその近所の保育園には入れず、1駅隣の新設園に入ることになりました。娘は最寄りの人気園に無事入ることができましたが、別々の送迎はかなり大変です。
小規模保育園+転園
ややさん 息子は3月生まれだったため、1歳児から預けましたが、希望の保育園に入れず、最終第6希望だった「乗り換えありの4駅先、給食なしで毎日お弁当を持参、園庭なし、18:30まで、2歳児までの小規模保育園」に入ることになりました。就学するまで保育園に通うなら、いずれは別の保育園に転園しなければならないからと、2歳児になる際に改めて保活しました。小規模保育園に入っていたポイントも得たうえで、2歳児の定員が50名強という大規模新規保育園に転園しました。
事業所内保育園(子連れ通勤)
※ゆうこさんは病院で理学療法士として働いていらっしゃいます。
ゆうこさん 妊娠する前は事業所内保育園が認可外だったので、ここに入園すると保育園申し込み時にかなりの加算があるから、認可保育園に転園しやすい、という話を聞いていました。そのため、産休前には病院にも保育園の園長にも入園したいという話はしていたのですが、育休中の12月に挨拶にいったときに認可保育園になると聞いて驚きました。職員枠があるので、事業所内保育園に入ることはできたのですが、期待していた加算がつかなくなってしまい、自治体の認可保育園は待機児童になりました。しかし、6月に復職することは決まっていて、産休代替できていたスタッフも契約が終わってしまうので、事業所内保育園に通うことになりました。
小規模保育園
メイヤーさん 全国的に有名な激戦区に住んでおり、一次で全滅しました。それから妻があちこち電話をかけまくりましたが、認証はすでにどこも満員で、ようやく月8万円の認可外保育園で入れるところが1ヶ所見つかり、夫婦2人で藁にもすがる思いで見学にいきました。結局、二次でギリギリ新規の小規模保育(認可園)に引っかかり、そこに通えることになりました。今の認可園には本当に満足しており、経済的にも助かっていますが、この認可外を押さえられたときの安堵感は今でもリアルに思い出せます。~中略~ また、保活で実績があると有名な区議がいて、一次で全滅したときに「もしかしてなんとかなるのでは?」と思い切ってメールをして相談したのですが、そのときに「皆さん希望園を30ヶ所くらい書いています」と教えてもらいました。それが二次募集に応募する直前のことで、結局13ヶ所ほど希望を書いて二次募集に応募しましたが、そもそも第5希望までしか欄が用意されていないフォーマットなのに第30希望くらい書き込むことが暗黙の前提となっている運用にも仕事柄すさまじいフラストレーションを感じました。
認証保育園→きょうだいで認可保育園へ
Yayoyoyayさん 実は第1子のときに失敗しました。園長や、保育園の雰囲気がいいところや近いところは入れなくても、どこかには入れるだろうと思っていましたが、認可は全滅してしまったんです。2月に認可の結果がわかって、認可外保育園(東京都の認証園でした)に片っ端から電話をかけてキャンセル待ちをしていたところ、3月上旬に1駅先にある認証保育園から空きの連絡をもらい、即決しました。下の子の妊娠でお腹が大きくなるまでは自転車で登園していましたが、保育園の最寄り駅直結の駐輪場は空きがなく、少し離れた駐輪場を借りるしかなくて、登園も苦労はありましたが、今のように2歳まで育休をとれる法律もなかったので、復帰するか辞めるかしかない中での選択でした。 その後、第2子の産後に改めて上の子を認可保育園に申し込んだところ、第1希望だった駅前の認可はNGだったのですが、ちょうど新設になった第2希望の保育園に入ることができました。新設園だったので枠が多いこと、ちょうど3歳で幼児クラスになったので入りやすかったのはあるかもしれません。その後、下の子はきょうだい枠で同じ園に入ることができました。
小規模保育園
はなさん 都内でもワーストといわれる地域なので、覚悟はしていたつもりでしたが、1次募集ではすべて落選し、呆然としたのを覚えています。0歳4月にこだわってはいなかったのですが、1歳4月で入れる保証はないし、そもそも1年半の育休では1歳4月まで足りない!と思い、焦りましたね。2次募集では4月開園の新規園が新しく募集となったので、そこを第1希望にして、電車で通える園まで含めて1次募集のときの約3倍の園を書いて申し込みました。結果として、第1希望に書いた園に入ることができましたが、その時点では内装もできていなかったので、保活の見学って本当に意味あるのか、今でもわかりません。ちなみに認証も認可外も全滅でした。
きょうだい別園 → きょうだい同園へ
あおなさん 下の子を上の子と同じ園に確実に入れるためポイントを稼ごうと、下の子は0歳クラスのときにあえて別園に入れて、復職しました。兄妹別園を一人で送迎するのは疲れましたが、意外となんとかなりました。下の子は、小規模の認可外保育園で0歳クラスを過ごすことができたので、赤ちゃんらしくゆったりと過ごせたり、病気をもらってくることが少なかったり、上の子が通っている大規模認可保育園より先生の数などに余裕があり、手厚く見てもらえて、結果的に子どものために良かったと思っています。
少しでもこういった苦労がなくなり、今の子どもたちが保活をする頃には、昔話になりますように……。 「何時間働けばフルタイム?」「時短勤務の要件は?」「在住期間が長いと有利?」など保育園申し込みの要件は自治体によってバラバラ!次のページでは、東京都と神奈川県の5つの自治体をピックアップして、保育園申し込み要件をまとめてみました。 ★2019/12/1 さらに9つの自治体を追加いたしました!★
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