人間関係が良好でもWMのキャリアアップは難しい?
AtoZさん
関西 / 40代前半 / アプリ開発の企画 / 正社員
家族構成:自分・夫・娘(3歳)・息子(1歳)
仕事について
出産前Before
アプリ開発の企画正社員
9:30~18:00 ※多いときは残業30~40時間
出産後After
アプリ開発の企画正社員
9:30~16:30 ※残業なし
お仕事について教えてください。
アプリ開発の企画を担当しています。コンテンツの立案から、仕様書作成、社内調整、制作進行、実機検証まで対応します。オフィスではほぼPCに向かっています。出社したらまず社内チャットのログや更新された資料、各種最新データをチェックして、前日の退勤後からの進捗を把握するところからはじめます。そのあとは、担当の課題について考案・調整などをして資料作成、チーム内の次の工程担当者と共有して、作業を進めます。基本的には全体のスケジュールに沿って検証をしながら、ひたすら改善を続けていく形です。週に2~3本の会議がありますが、外出はありません。ちなみに、2人目の妊娠中に妊娠高血圧症の疑いがあったため、仕事量を減らすように医師から指導をうけ、リモート対応できないかと職場に掛け合ってみたのですが、情報の取り扱いに厳しい職でもあり、結果は不可でした。
出産前から同じ仕事を続けていらっしゃるということですが、産後に変わったことはありますか?
仕事内容は同じですが、別チームの別プロジェクトに配属となりました。1人目出産後、2人出産後それぞれのタイミングで所属プロジェクトが変わりました。職種は変わりませんが、実は出産前までは、取引先との窓口などがメインで、社内メンバーと一緒になって仕事を進めたことがあまりなく、産後にようやく事業の本筋を知ったような感じでした。
プロジェクトが変わったのですね。それはAtoZさんの希望だったのでしょうか?
いえ、妊娠出産に関係なく、長くても3年ほどで所属プロジェクトが変わります。そもそも市場的に商品寿命が短いことから、プロジェクトが3年続けばまぁ合格ラインかな、という感じですね。社内では常に複数のプロジェクトが走っていて、おおむね準備期→成長期→成熟期→縮小期などの段階により、各チームの人員も頻繁に調整が入ります。私の感覚としては1つのプロジェクトの在籍期間は平均2年です。希望すれば特定プロジェクトの業務を続けられるとは思いますが、私自身、新しいもの好きなタイプなので、そこまでこだわりはありません。
職場の雰囲気はいかがですか?お休みなどはとりやすいでしょうか?
雰囲気はかなり良好で、理想に近いかもしれません。“職人集団”的な感じで、基本的に仕事とプライベートの切り分けがかなりはっきりしており、担当業務がきちんとできていればあとは自由、という風土です。飲み会などもほぼなく、隣の人の年齢も社歴も家族構成も給与額も知りません(笑)。現在、チーム内のワーママは私だけですが、男性や役職者でも子どものお迎えのために早退する人が増えています。部署全体では、持病がある人・メンタル休職からの復帰メンバーなど育児以外で休みがちな人もいるので、ある意味お互い様精神でやっています。この環境は、もしかしたら熱意ある有能な若い人ほど、不満を持ちやすいのかもしれません。実際、有能な人ほど転職したり、独立したりしています。
お互い様の雰囲気があるのは助かりますね。お子さんの体調不良などで急にお休みされるときはどう対応していますか?
基本的に、1ヶ月や2~3週単位で達成すればOKな業務を希望して、割り振ってもらっています。そのうえで、3日程度は休んでも差し支えないような進行を心がけています。あとは、大阪を中心に病児保育シッターサービスを提供しているNPO「ノーベル」さんも使っています。住んでいる自治体がそちらと提携していて、一般会員の半額程度で利用できる点と、当日朝8時までの予約なら100%利用可能という点で、本当に、本当に!!!助かっています。子どもが病気のときは、体調を崩してから全快するまでのうち半分から1/3くらいはお願いしていると思います。ノーベルさんはスタッフの質も思っていたより高く、シッターへの心理的なハードルが下がりました。夫は急には休めない職場なので看病については戦力外です。
現在はチーム内にワーママはお一人ということですが、社内にはほかにもワーママはいるのでしょうか?
はい、複数います。前のチームの直属の上司は、役職者で産休・育休を取得した女性でした。(現在は役職からはずれたようです。)ただ、辞めてしまったワーママも何人かいらっしゃります。皆さんの退職の理由などはよく分からないのですが、「小1の壁にぶち当たって辞める。そのことはかなり悔しい。これからの人は早めに対策しておいて」と退職時に伝えてくださった先輩がいて、印象深かったです。
小1の壁……!やっぱり大変なのですね。仕事のお悩みなどはありますか?
先ほどもお話しましたが、2~3年くらいで所属プロジェクトが変わりますし、子どものいる女性管理職は少ないので、中長期のキャリアプランが描きにくいです。キャリアアップの仕方は、本当に分からないです。子どもがいる女性の管理職が増えた方がよい、とは思いますが、自分が手を挙げるかというと微妙です。もともと、男性がかなり多い組織だったので、上にいくほどぶつかる“男社会度合い”が大きいかもしれないな、とは感じています。管理職になるとそもそも単純に会議などでの拘束時間が増えますし、“男社会”というか、残業をいとわない独身・若手メンバーの熱意や発想でプロジェクトがダイナミックに動くような側面もあり、組織的に体系だった評価基準があるわけではないなかで、管理職としてメンバーを評価するのも、評価に納得してもらうのも難しいんじゃないかと思います。そういう意味で、現場業務も兼ねる多忙なプレイングマネージャーの方が現場からの共感や信頼を得やすい実態がある気がしています。あとは、責任が大きくなるほど業務時間外の緊急対応に追われることになるので、子育て中の人材とは相性が悪いですよね。給与をあげることだけが目的なら、転職した方が早いとも思います。
時短勤務だとやはり昇給は難しいのでしょうか?
給与は同年齢ベースだと平均より低めで、なかなか上がりません。時短勤務だからと評価されないことはないですが、稼げるプロジェクトに巡り合えるかどうかの運は大きいかもしれません。転勤なし、裁量労働制で時短でも減給なしなので、むしろ贅沢なのかな……と思うこともあります。
前職では、年功序列型・残業あり・休みは取りづらい・激務と、今とは真逆の環境だったので、どちらのメリット・デメリットも見てきましたが、育児との両立という観点なら、ITなど新しい専門分野で裁量労働制の職場は比較的お勧めです。ちなみに、夫の職場は、今の私の職場とは対照的な昭和型で、歴史・安定感と分かりやすい昇給システムに残業代も出ますが、共働きの女性・男性は働きにくそうに見えます。
時短でも減給がないのですね。裁量労働制ということですが、仕事をするうえで心がけていることがあれば教えてください。
一応、自身の心がけとして、標準始業時間の30分前に業務開始できるスケジュールにしています。外からのプレッシャーはないので、自分のなかで葛藤することは多いですが、5年10年単位でみると、かつての残業時代とまとめることでバランスが取れているのかもしれない、と思います。もっとも、時間制限がある分、ほかの人が当たり前に使っている新しい技術やツールをマスターするのに毎回苦労します。昔の私なら残業で追いつこうとしたと思いますが、今は、無理はしません。あと、競合商品の研究、市場のトレンド感知など、業務を離れた場で、1人の消費者としての経験や目線がすごく重要なのですが、私が個人として使える自由時間が少ないこと、行動範囲が限られることは地味に大きなハンデだなと思います。
生活について
タイムスケジュールSchedule
- 5:45
- 夫起床、シャワー後、ごみ処理や登園準備
- 7:00
- 自分と子ども起床、朝食、着替え
- 8:15
- 夫と子どもと登園
- 9:00
- 出社
- 16:30
- 退社
- 17:15
- いったん帰宅し、洗濯予約や夕食準備
- 17:45
- お迎え、洗濯、着替え、子どもと自分の夕食
- 20:30
- 子どもとお風呂
- 21:00
- 夫帰宅、夕食、洗濯物干し、食洗機オン
- 21:30
- 寝かしつけ
- 22:30
- 子ども就寝、自由時間
- 24:00
- 就寝
保育園までの距離、送り迎えの担当を教えてください。
保育園までは歩いて5分で、送りは夫婦2人で行きます。お迎えは私の担当です。
保活はいかがでしたか?
上の子は早生まれで1歳4月の認可保育園は入れませんでした。もともと、「保育園落ちた」が話題になった頃の保活激戦区だったこともあり、認可保育園は早々に諦めていて、認可外保育園を探していました。自宅から徒歩5分ほどのところに信頼できそうな園が見つかり、1歳0ヶ月からOKだったので、そのタイミングで保育園に入れました。駅近のビルに入っているとても便利な小規模園でした。ほかに2~3カ所認可外保育園を見学しましたが、予約できたのはその園だけで、生後半年ごろに見学・予約し、その園に入園可能な1歳0ヶ月になったタイミングで入れた形です。このときは4月に職場へ復帰をしたため、入園から復帰まで実質3ヶ月のタイムラグがあったんです。子どもが保育園に完全に慣れてから復帰できたので、看病で仕事を休むことも少なかったです。その分、下の子のときは復職タイミングと子どもの保育園の入園が重なり、子どもが次々病気をもらってくるという洗礼を受けてびっくりしました。
第2子の出産のために、実家に3ヶ月半里帰りしていた期間は、一度この保育園を退園という扱いにしました。事前に戻る時期などは相談しており、自宅に戻ったタイミングで再度入園という形になりました。戻った月は一時預かりで月の途中から月末まで利用し、翌月から月極にしてもらいました。ロッカーなどもそのままにしてもらっており、とてもよくしてもらいました。その後、下の子の認可保育園一斉入所のタイミングで、自宅により近い認可保育園をきょうだい同一希望で出しました。一次調整では上の子だけ保留になってしまいましたが、二次調整で入所OKとなり、今は同じ認可保育園に2人通っています。
大変でしたね……!かなり前から準備していたのでしょうか?
そうですね。結果的に理想形におさまりましたが、幼稚園、区外バス通園、企業内施設など、とにかく多くのパターンのシミュレーションを重ねました。大阪エリアの保活情報は「よどきかく」という神サイトがありまして。最初の産休前に人事担当から教えてもらったのですが、これを知っているのとそうでないのとでは、結果は違ったと思います。
このサイト、ここまで保活の情報がまとまっているなんてすごいです!ご夫婦で家事の分担はいかがですか?
ごみ処理、洗濯物干し、食器洗い、登園準備、クリーニング、アイロン・裁縫は夫です。清掃は週1でハウスキーパーさんに外注しており、料理や子どもの食事・お風呂の世話、家計管理などそのほかは私です。
夫さん、裁縫ができるのですか?
昔から服が趣味で、なんなら最終的には自分で作りたいタイプのようです。ミシン・アイロンは夫の嫁入り(?)道具でしたし、保育園の手作り指定アイテムや名札づけはほとんどお願いしました。夫の服は下着の洗濯以外、ノーケアです。仕事服のシャツ類も勝手にクリーニングに出しているので、ものすごく助かります。私服では多分すごくいい値段のTシャツとかを着ているようですが、別財布なので気にしません。服は私の方が割と適当です。
週1でハウスキーパーさんを頼んでいるというのも気になります。詳しく伺えますか?
キッズラインの方に週1回、掃除を頼んでいます。1回2時間で、3500円ほどで、基本的には、私の勤務時間中(自宅に不在のとき)にお願いしていますが、帰ったら部屋がピカピカというのは精神的にものすごく良い効果があります!もともと下の子のベビーシッターを定期的にお願いしていた方で、保育園に入園するときに家事代行も対応できると提案くださったので、信頼してお任せしています。トイレとお風呂の水回り清掃、メインの居室2部屋と廊下、玄関の掃除機がけ、床拭き、ゴミまとめ、猫トイレ掃除、子ども用品やおもちゃ拭きなどをお願いしています。私が在宅している時にお願いすることもあるのですが、そのときには衣替えや断捨離のアシストなどもしてもらっています。掃除は夫婦とも苦手なので、外注できて助かります。
ご夫婦で家事の分担について話し合いなどはされましたか?
お互い一人暮らしが長かったので、夫も基本的には私が放っておいても生きていける人だと考えています。家事の分担は、試して感想を伝えあうことの繰り返しで、まとまった話し合いっぽいことはあまりした記憶がないです。結果的に、夕方~夜は私、深夜~早朝は夫と、ざっくり時間で分かれているかもしれません。休日は子守りシフトを組んで、数時間でも外で一人になれる自由時間を作るようにしています。お互いが、より得意な(ストレスなく取り組める)ことをその都度探って、よきところに着地している感じです。
互いにより得意な分野を探っていくスタンス、いいですね!育児と仕事の両立に必須のアイテムやサービスがあれば教えてください。
食洗機、ブラーバ、あとはネットショッピングでしょうか。Amazonプライム、楽天、ヨドバシ.comはよく使います。
あとは、必須アイテムではないのですが、「職住近接」で夫も私も会社まで15分程度で行ける場所に住んでいます。私は電車で3駅ほどで、夫は歩いて通っています。ともに両親が遠方で、親戚などの支援もないのですが、車なし、都心の狭い住居に暮らすことで、時間とお金を捻出しやすくし、外注や外食も利用して家事育児のストレスを減らしています。住居は場所を優先したので、ほかは妥協したところもありますが、築35年55平米2LDKのリフォーム済み中古マンションを購入しました。夫婦とも田舎の一軒家で育ちましたが、モノが増えてメンテナンスが大変など、広さにはあまりメリットを感じませんでした。首都圏以外の中古なら、探せば意外と手ごろな物件がある気はします。今のところは、保育園・小児科・区役所・児童館が地下鉄1駅の距離にありますし、最寄り駅・スーパー・コンビニ・ドラッグストア・郵便局・病院・クリーニング・ホームセンター・銀行のすべてが徒歩10分圏内にあります。子連れで利用できる飲食店も多くて、なじみのお店も増えましたし、知り合いが多くて安心です。ただ、今、夫婦ともに住宅ローンを組んでいる状態なんです。
職住近接、いいですね!そして住宅ローンの話も伺えますか?
前職時代、私はいわゆる典型的な社畜生活で、結婚願望もなかったので、ずっと1人でも大丈夫なようにと、30歳で35年ローンを組んで1LDK新築マンションを購入してしまったんです。(そのあと猫も飼い、いまも一緒に暮らしています)結婚した際に、そのマンションに夫が引っ越してきましたが、妊娠が分かってから現在のマンションを見つけて、購入・引っ越ししました。その1LDKのマンションは賃貸管理会社に頼んで人に貸していますが、子どもが巣立ったら夫婦で住むつもりでいます。現在の住居を購入したことについて、私は正直ちょっと後悔しています。家族が増えた分、想定外のことが生じる可能性も増えるので、賃貸でよかったかもな、と。私は晩婚の高齢出産なので、いろいろな事例を知っている分、家庭・仕事・お金・住居・趣味など我が家なりの優先順位が明確にできているような気がします。ただ、体力は確実に落ちているので、無理しないよう気をつけたいと思います。